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Empowering the Future – Part 2: 変化し続けるデータセンターの情勢、エネルギー消費、デジタルインフラの未/Rabih Bashroush

2025年4月10日
イーストロンドン大学 Rabih Bashroush教授

このインタビューの後編では、イーストロンドン大学(UEL)のエンタープライズコンピューティング(EC)ラボディレクター、Rabih Bashroush 教授が、変化し続けるデータセンターの情勢、エネルギー消費、そしてデジタルインフラストラクチャの未来について語ります。Ada の ESG リーダーである Joyce Dickerson がBashroush 教授にお話しを伺いました。

近年、データセンターのエネルギ消費には主にどのような変化がありましたか?

過去数年間にわたり、データセンターのエネルギー消費は著しく増加しています。私は、2018 年の 400 テラワット時から、2025 年にはおそらく 700~800 テラワット時にまでこの数値が増加していると推定しています。これには、コロケーションによる約 200 テラワット時、ハイパースケールファシリティによる 200 テラワット時、暗号通貨マイニングによる 200〜250 テラワット時、通信、政府、銀行、および類似のセクターによる 100〜150 テラワット時が含まれます。このような増加は、データセンターの数が増えているということだけではなく、テクノロジの進展とデジタル活動の世界的な拡大により、これらの施設に対する需要が高まっていることにも関係しています。

AI がデータセンターのエネルギー需要に与える影響はどの程度大きいのでしょうか。

人工知能(AI)がデータセンターのエネルギー需要増大に及ぼす役割は非常に大きいものの、まだ解明はされていません。たとえば、大規模言語モデル(LLM)を学習するには、1回のトレーニングで数十GWh(ギガワット時)もの電力を消費する場合もあります。これらのモデルがより多くの分野で不可欠になり、その用途が増大するにつれて、エネルギー需要は指数関数的に増加していくでしょう。まだその影響のすべてが現れているわけではありませんが、AI の進歩が直接的にエネルギー消費を大幅に押し上げる可能性を認識することが重要です。

データセンターとそのエネルギー消費についてどのような誤解があると思われますか。

よくある誤解の一つに、「データセンターがエネルギー消費の増加を引き起こしている」というものがあります。しかし実際のところこれらの施設のエネルギー消費は、動画配信サイトでの視聴や、ソーシャルメディアの使用といった私たち消費者の行動によって大きく影響を受けているのです。データセンターは、こうした私たちのデジタル行動の需要を支えるために建てられているのであり、その逆ではないのです。私たちのデジタル習慣が、エネルギー消費にどのように直接影響を与えるかについての啓蒙に注力することが重要です。

教授のチームが取り組んでいる持続可能性イニシアチブや研究プロジェクトについて詳しく教えてください。

UEL EC ラボのチームは、デジタルインフラが環境に与える負荷を抑えることを目的とした、複数の持続可能性イニシアチブに深く関わっています。官民双方から資金提供を受け、データセンターにおけるエネルギー使用の評価と最適化を目的として、ヨーロッパ全体で広範な調査を実施してきました。また、研究活動にとどまらずドキュメンタリーやメディアを通じて、デジタルテクノロジーによる環境への影響に関する政策立案や啓蒙にも積極的に取り組んでいます。

データセンターの運用を再定義し得る将来のトレンドや技術にはどのようなものがあるでしょうか。

今後、データセンターの運用を再定義できるいくつかの重要なトレンドや技術が出てくるでしょう。再生可能エネルギーの導入は最も重要ですし、液浸冷却などの冷却技術の進歩によって高密度なシステムをより効率的に運用できるようになります。さらに、AIが運用や保守の最適化において重要な役割を担うことで、データセンターのエネルギー効率が高まるだけでなく、需要の変動にも柔軟に対応できるようになるでしょう。

教育プログラムとパートナーシップは、データセンターの将来の人材育成にどのような役割を果たすのでしょうか。

データセンターがこれから直面する需要に対応できる人材を揃えるには教育プログラムと業界との連携が極めて重要です。Ada Infrastructure のブートキャンプのような取り組みを通じて、即戦力の需要に対応すると同時に、長期的に安定した人材のパイプラインを整えることを目指しています。大手企業とのパートナーシップでは現場に即した知見を得られるため、常に最先端の内容のカリキュラムを維持し、学生が急速に変化する業界で活躍するために必要なスキルを習得できるようにしています。

おわりに:

このディスカッションでは、データセンターの分野におけるテクノロジー、消費者の行動、そしてサスティナビリティの活発な相互作用が見えました。未来を見据えると、私たち一人ひとりの行動とイノベーションが、デジタルインフラが環境に与える影響の方向性を左右していくことがますます明らかになるでしょう。

Ada Infrastructure の詳細については、www.adainfra.com をご覧ください。

イーストロンドン大学 Rabih Bashroush教授

Bashroush 教授は、デジタルインフラストラクチャと持続可能性の分野で著名なエキスパートです。公共部門および民間部門の IT インフラストラクチャ変革プロジェクトに統合、クラウド導入、回復力、持続可能性を対象とした戦略的助言を提供しています。ICT の省エネルギーにおける業績で英国大学トップ 100 Best Breakthrough リストに掲載されており、2018年の Industry Initiative of the Year DCD Global Awards を受賞しています。EURECA や欧州委員会 DG CONNECT スマートシティー研究クラスターなどの欧州イニシアチブを主導しました。Bashroush 教授は、英国、アイルランド、欧州委員会など、さまざまな政府に助言し、支援しました。英国規格協会(BSI)で、CEN/CENELEC/ETSI および ISO/IEC と連携しながら、IT インフラストラクチャ標準化を対象とする電気通信部門委員会委員長を務めています。その業績はいくつかの国際ポリシーおよび法制化に影響を与えています。100 を超える学術論文を公開している Bashroush 教授は、この分野の第一人者です。



法的通知および免責事項

本インタビューに記載されている見解は、2025年4月10日 時点の Joyce Dickerson そして Rabih Bashroush のものであり、Ares Management Corporation(以下、「AresCorp」、および Ares Management LLC またはその関連会社を総称して「Ares」)の見解を必ずしも反映しているとは限りません。この見解は情報提供のみを目的としています。投資アドバイスを目的としたものではなく、変更される可能性があります。

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