hero background image
ブログ

戸谷茂山とのQ&A:日本のデジタル変革を支えるAI対応データセンター

2025年6月17日
戸谷 茂山, Data Centers Japan

アジア太平洋、ヨーロッパ、そして米国でデータセンター業界の経験を積んだ戸谷茂山(Totani Mozan)が、自身のこれまでの歩みやAdaのビジョン、さらに日本のデータセンター業界の将来の見解を語ります。

現在、Ada Infrastructure(Ada)APAC地域を統括する戸谷は、Yahoo! でデータセンター開発および運営担当のグローバルヘッドを8年間務めたのち、Amazon Web Services(AWS)で6年間にわたりデータセンターキャパシティ&運営担当APACディレクターとして10ヵ国にまたがる広範なポートフォリオを管理してきました。

これまでのキャリアと、Adaに参画したきっかけについて教えてください。

2024年8月にAdaに参画する前、私はAWS Japanで6年間データセンターの運用とその運営を管理しており、APAC地域全体のキャパシティ構築に携わっていました。その頃Adaが差別化された規模とビジョンをもって、グローバルデータセンター市場に参入したことに衝撃を受けました。また、Adaを日本最大級のデータセンター事業者の一つへと成長させる600 MWのキャパシティ、持続可能なデジタルインフラの構築、そして顧客から信頼される強力なグローバルブランドを目指すリーダーシップのコミットメントにも注目していました。

日本のデータセンター市場は世界的に見てどのような位置づけにありますか?また、そこにはどのようなビジネス機会があると考えますか?

日本は需要が供給を上回っており、今後更なる成長が見込まれます。日本は強力な公共インフラを備えており、政府がデジタルトランスフォーメーションに注力していることから、国内外の企業にとって魅力的な市場です。しかしながら、サプライチェーンの問題や人材不足など、課題も抱えています。

日本におけるサプライチェーンと人材の主な課題とはなんでしょうか。またAdaではどのように対処していますか?

変圧器などの資材のリードタイムが長いことやゼネコンの逼迫が大きな課題となっています。これに対し Adaは、グローバルな規模を活かし、トップクラスの施工業者と長期的な関係を構築するとともに、信頼できる設備サプライヤーとの戦略的パートナーシップを深めるとともに主要な業界パートナーとのグローバルな連携も積極的に取り組んでいます。またできる限り日本国内のサプライヤーから設備を調達することで、潜在的な関税リスクを軽減しています。

その他、人材確保のために東京を拠点とする大学の学生団体「Women in Business」と提携し、インターンシッププログラムを実施しています。この6 ヵ月間のインターンシップは、学生にデータセンター業界を紹介することを目的としています。 さらに、国内外のサプライヤーが提供する研修プログラムを活用し、技術運用部門の人材確保にも取り組んでいます。

サステナビリティにおいて、Adaはどのような取り組みを行っていますか?

Adaは持続可能性を、効率性とビジネス成果の向上を目指すとともに、国のニーズや目標に合わせすべてのお客様から信頼されるグローバルブランドを構築する長期的な取り組みと捉えています。この中には、日本が直面している労働力不足や経済的な持続可能性といったより広範な社会的課題を考慮し、PUEやグリーンビルディング認証といった指標を超えた視点に目を向けることも含まれます。たとえば、クリーンなエネルギー源へのアクセスをお客様に提供するだけではなく、低炭素の建築資材の調達、水使用を最小限に抑えるノンエバポレーティブ冷却システムの活用などに取り組んでいます。

日本のデータセンターの将来について、どのようなテクノロジーに期待していますか?

データセンター内の液浸冷却は、将来の高密度コンピューティングのニーズに対応するために不可欠と考えられています。また、AI学習や推論モデルの導入は、ビジネスの生産性向上だけでなく、バイオテクノロジーや医療、気候変動といった分野での研究を進展させ、現代社会が直面する課題への解決を加速させる上でも重要な役割を果たします。こうした増大するコンピューティング需要に対応するには、継続的なインフラのアップデートと革新が必要です。Adaは、既存の施設を再利用または改修するのではなく、ゼロベースから将来を見据えたデータセンターを設計できる強みがあります。これによりお客様の高密度コンピューティング要件やその他の新たな技術にも柔軟に対応しやすくなります。

Adaは、データセンター開発に関する地域社会の懸念にどのように対応していますか?

Adaは、地域における規制の遵守とともに地域社会への積極的な参画に取り組んでいます。地域社会に焦点を置いた取り組みの一環として、特定の地域への公園やコミュニティセンターの設置、地域イベントに参加するなどしています。またデータセンターの開発と管理は、地域経済に大きな影響を与えることが示されています。多くの場合には、ビジネスの成長を促進し、地域社会の生活向上に貢献しうる雇用を創出しています。

2030年以降のAdaの未来をどのように描いていますか?

Ada はスケーラビリティと持続可能性をリードすることを目指し、日本で確保している将来のキャパシティを活用し、エンタープライズ、クラウド、AI/ML の成長を支援します。2030年までに、日本での既存の600 MW のキャパシティの大部分を稼働させるとともに、他のアジア太平洋地域市場への拡大も視野に入れています。この地域への長期的なコミットメントにより、Adaはグローバルなデータセンター産業の主要な戦略的パートナーとなることを目指しています。

戸谷 茂山,
Data Centers Japan

アジア太平洋地域、欧州、米国にわたるグローバルなデータセンター運用管理において豊富な経験を積んだ、実績のあるプロフェッショナルで、現在はAdaの日本地域を統括しています。それ以前はAWSで6年間、データセンターキャパシティ&デリバリー担当のAPACディレクターとして、10ヵ国にまたがる大規模なデータセンターポートフォリオの管理、シリコンバレーの Yahoo!にて8年間、グローバル規模のデータセンター開発と運営の責任者を務めていました。

シェアする